WEBマーケティング
マーケティングにおけるセグメントとターゲットの設定は、売上げに大きな影響を与える要素です。適切なセグメントとターゲットを選択し、サイト訪問者の離脱を防ぎ、CV(購入・申し込み)を増やしたいと考えているWEBサイト運営者も多いのではないでしょうか。
この記事は、セグメントとターゲットの定義や違い、マーケティングでの役割、分析方法などについても解説しています。WEBサービスの施策を検討するために役立ててください。
セグメントは「一区切り」「断片」などの意味があります。マーケティング用語としてはどのようなことを指すのでしょうか。
セグメントとは、年齢、地域、業種などの特定の属性、条件によって分類されたグループです。個人の価値観や好みなど抽象的な属性によってセグメントを作ることもあります。複数のセグメントに分けることを「セグメンテーション」または「セグメント化」と呼んでいます。
セグメントには基本セグメントと固有セグメントがあります。
・基本セグメント:年齢、職業など多くの業種やビジネスに共通して使える、属性や特徴で分類
・固有セグメント:食費や旅行の頻度など特定の業種やビジネスにしか活用できない、属性や特徴で分類
ここでは、ターゲットの定義や種類、ペルソナとの違いについて解説します。
ターゲットとは、企業が自社商品を販売したい顧客層として選んだ幾つかのセグメントのことです。たとえば「20代・学生・都心在住」など、特定の条件を満たしているセグメントをマーケティングの戦略に沿って選択します。ターゲットを決めることをターゲティングと呼びます。
ターゲットを検討する際には、まず「集中型」「分化(差別)型」「無差別型」のどのパターンにするかを決めることが必要です。それぞれの特徴について解説します。
集中型のターゲットは、見込み客の範囲を小さく絞り込んで集客や営業を行うときに用います。たとえば、高級ブランドやニッチな分野の商品などのターゲティングに適しています。
分化(差別)型のターゲットは、ターゲットに応じてベース商品をカスタマイズすることで売上げ向上を目指す際に用います。国際的な自動車メーカーなどが採用しており、料金プランや付帯サービスなど商品以外を変えることで、分化(差別)型のターゲティングが可能です。
無差別型のターゲットは、全市場に同じ商品を投入する際に用います。大規模で幅広い層をターゲットにする際に有効です。単一製品を大量に生産して販売する「マス・マーケティング」におけるターゲットは無差別型の代表です。
マーケティングにおけるペルソナとは、自社商品に興味を持つと思われる仮想の人物で、ターゲットよりも具体的で精度が高いことが特徴です。通常、ターゲティング完了後に見込み客の傾向やニーズを推測してペルソナを設定し、広告、販売戦略などの立案やコンテンツ製作などを行います。
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ターゲットとセグメントは同じものとして使われることもありますが、明確な違いがあります。
セグメントはある基準に従って分類されたグループのことです。ターゲットは自社のマーケティングに沿って選んだ幾つかのセグメントを意味します。混同して使われることもありますが、マーケティング担当者であれば明確に区別するほうがよいでしょう。
マーケティングはセグメンテーションからターゲティングの流れで行います。ただし、2つの関連性は強く、実際にはターゲティングが適切にできないことからセグメンテーションに戻ることもあります。
ターゲットセグメンテーションとは、セグメンテーションからターゲティングまでの一連のマーケティングを指します。一般的には、後述するSTPマーケティングを用いてセグメントを決め、そのなかから自社商品を売り込むターゲットを選択することをターゲットセグメンテーションと呼びます。
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STPマーケティングとは、セグメンテーション(S)、ターゲティング(T)、ポジショニング(P)を行うための理論、フレームワークです。経営学者フィリップ・コトラーによって提唱されました。ポジショニングとは、市場における自社商品の立ち位置を決めることをいいます。
STPマーケティングは、セグメントとターゲットを有効に活用する上で欠かせない知識です。次項からS、T、Pそれぞれの分析方法について解説します。
ここでは、STPマーケティングにおけるセグメントの分析方法と、分析精度を高めるために用いられる4要素について解説します。
セグメントに分けるにはさまざまな指標が使えますが、自社の商品を利用してもらいたいグループをみつける観点から選ぶことが重要です。
同様にセグメントに含まれる人数や企業の数も、自社のマーケティング戦略に合わせる必要があります。仮にセグメントを細かく分けすぎてしまうと、広告や営業のパターンが増えすぎて費用や工数が増大してしまうかもしれません。
セグメントの分析を行うときは、以下の4要素を含めて考えると精度を高められます。
・地理的変数
国や文化、気候、人口などの要素です。販売しやすい商品や流通のしやすさなどをマクロの観点でセグメンテーションするために用います。
・人口動態変数
性別や年齢、職業、年収などの要素です。BtoBの場合は、企業規模や業種などになります。
・心理的変数
関心や興味のあるジャンル、価値観、趣味などの心理的な要素です。BtoBの場合は経営方針や企業ポリシーなどが心理的変数に相当します。
・行動変数
購入金額や購入頻度、WEBサイトにおける行動履歴などの要素です。
ここでは、STPマーケティングにおけるターゲットの分析方法と、適切な分析を行うために必要な6つの要素について解説します。
ターゲッティングを効率的に行うためには、まず集中型、分化(差別)型、無差別型のいずれを用いるかを決めることが必要です。その上で価格帯やブランドイメージに合った顧客層など、マーケティングの戦略によってターゲットを絞り込んでいきます。
また、投入できる資金や市場動向なども総合的に判断しなければならないため、分析者には経営者としての能力も求められます。
ターゲティングでは以下の6つの「R」を含めて検討すると、分析要素を総合的に網羅し、精度を高められます。
・Realistic scale:市場規模が適切か
1人(1企業)あたりの消費量や消費額などを調査して、自社の目標売上げを達成できる市場規模か分析します
・Rank:顧客の優先度
顧客から自社商品を評価したときに、購入・契約に至るほど関心が高いか分析します。
・Rate of growth:市場の成長性
顧客数や消費量、消費額などにおいて、市場に成長性があるかどうか分析します。市場サイクル(成熟期や衰退期など)を分析することも必要です。
・Rival:競合が激しすぎないか
同業他社の数や価格競争の度合いなどが検討項目です。
・Reach:顧客にアプローチ可能か
営業訪問のエリア内か、顧客の言語にWEBサイトを対応できるかなど、顧客にアプローチ可能かどうか検討します。
・Response:顧客の反応を測定できるか
ターゲットにアプローチした後に客観的な指標で分析、評価できるか検討します。
ポジショニングとは、自社商品の強みや弱み、オリジナリティ、価格帯などを分析して、市場のなかに位置付けることです。市場における自社のシェアや販路なども総合的に検討してポジショニングを行います。
ポジショニングは分析が複雑になりやすいため、同時に検討する要素・指標は1~4つに絞ることがポイントです。
ターゲットとSTPについてのより詳しい解説はこちら
>ターゲット分析するためには?STP分析におけるターゲティングについて解説
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セグメントとは特定の条件、属性によって分類したグループのことです。またターゲットとは自社商品を販売したい顧客として選んだ幾つかのセグメントを指します。どちらもマーケティングにおいて非常に重要な要素であるため、STPマーケティングなどの分析手法を知っておきましょう。
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