WEBマーケティング
セグメンテーションとは、顧客や市場を同じ性質を持ったグループに分類することです。セグメンテーションはマーケティング施策のひとつとして知られており、顧客のニーズに対応するために重要です。この記事では、セグメンテーションの意味、目的や活用方法などを解説します。セグメンテーションの成功例についても紹介するので、参考にしてください。
セグメンテーションとは、顧客や市場の細分化を指します。顧客はすべて同じではなく、個々に性質があります。それぞれの属性を分析し、同じ属性を持つグループに分ける作業がセグメンテーションです。
セグメンテーションは、どのような目的で行われるのでしょうか。ここでは、セグメンテーションを行う目的について解説します。
20世紀までのマーケティングは、マスマーケティングが主流でした。マスマーケティングとは、テレビCMやラジオなどを利用した、不特定多数へのマーケティングです。
しかし、現代ではインターネットなどの普及により、顧客のニーズや購買行動、価値観などが多様化し、マスマーケティングでは対応しきれなくなっています。それぞれのニーズに応じてアプローチするためには、顧客ニーズや市場を細分化できるセグメンテーションが重要です。
利益の最大化も、セグメンテーションの目的のひとつです。効率よく利益を出すには、売上高を上げるだけではなく、事業にかかるコストを可能な限り抑える必要があります。
セグメンテーションを実施すると、ニーズや属性ごとに、顧客や市場を分類できます。そのグループのなかで、自社が優位性を保てる領域を分析できるため、利益が見込める分野への集中的なアプローチが可能です。その結果、最小限のコストで利益を最大化できます。
セグメンテーションで使用される分類は4つあります。以下で、それぞれの分類について解説します。
行動変数とは、顧客が購買に至るまでの行動パターンを分類する方法です。行動パターンとは、購入した時間や曜日、購入頻度や回数、使用するシーンなどを指します。また、顧客が重視するポイントや購入経路なども、行動変数に含まれます。
心理的変数とは顧客の心理的な部分を分類する方法で、サイコグラフィック変数とも呼ばれています。例えば、社会的な立場・階層や性格、価値観、ライフスタイルなどがあります。顧客の行動やニーズの多様化に対応するため、重要度が増しています。
人口動態変数とは、年齢や性別、職業や収入、家族構成など、顧客の基本的な情報をもとにして分類する方法で、デモグラフィック変数とも呼ばれています。これらの情報は、取得が容易であるため、セグメンテーションでは頻繁に使用されます。
地理的変数は、地理的な面から顧客や市場を分類する方法で、ジオグラフィック変数とも呼ばれています。例えば、住んでいる国や都道府県、市町村といった地理的な情報だけではなく、人口密度や気候、文化や宗教など含めて細分化します。
セグメンテーションを考えるうえで重要視されるのが、セグメンテーションの4Rです。4Rとは「優先順位(Rank)」「有効規模(Realistic)」「到達可能性(Reach)」「測定可能性(Response)」の頭文字をとった言葉です。以下で、4Rの詳細について解説します。
Rankとは優先順位付けです。属性ごとに分類した顧客グループを、重要度に応じて順位付けします。セグメンテーションしたグループに優劣をつけられるかどうかは、効果的なターゲティングを行うために欠かせません。そのため、社内の経営戦略やマーケティング戦略などを参考にしながら、優先度の判断を行いましょう。
Realisticとは、規模の有効性を表す指標で、その市場で十分な売上高や利益を上げられるかどうかの確認を行います。顧客の属性と自社の商品がマッチして、適切なマーケティング施策を打ったとしても、市場規模が小さいと、思ったような利益が出ません。そのため、市場規模が適当かどうかを、慎重に測る必要があります。
Reachとはターゲットとなる顧客層に対して、マーケティング施策や製品の到達が可能であるか判断する指標です。広告などのマーケティング施策を打つ際には、実際の顧客層に確実にアピールできること、商品が届けられることが重要です。到達の可能性が低い場合は、積極的にマーケティングを行っても効果が出にくいため、気を付けましょう。
Responseとは、顧客からの反応の測定が可能であるかを測る指標です。購買力や特性、規模などについて測れるかを確認しましょう。セグメンテーションの効果を検証するには、顧客に与えた影響や実際の反応の測定が重要です。これらの反応を測定できると、改善点などの把握も容易になるため、PDCAサイクルを回しやすくなります。
セグメンテーションを含む分析に「STP分析」が挙げられます。ここでは、STP分析について詳しく解説します。
STPとは、Segmentation(セグメンテーション)、Targeting(ターゲティング)、Positioning(ポジショニング)の頭文字からなる言葉です。マーケティングのフレームワークのひとつとして知られており、「誰に何をどのように」販売するのかといった戦略立案に使われます。セグメンテーションで市場の全体像を把握し、ターゲティングとポジショニングを行いましょう。
ターゲティングとは、セグメンテーションした顧客グループのなかから、自社にとって適切な領域を絞り込む作業です。ターゲティングの際は、自社だけではなく、競合についても調査をしなければなりません。
ポジショニングとは、競合の商品やサービスを把握し、自社の立ち位置を決定する作業です。競合に対して優位性や差別化を重視しましょう。
セグメンテーションをWEBマーケティングに活用するには、どのようにすればよいのでしょうか。ここでは、WEBマーケティングへの活用方法を解説します。
広告運用の際にも、セグメンテーションの活用が可能です。ここでは、リスティング広告とディスプレイ広告における活用方法を紹介します。
リスティング広告とは、検索されたキーワードと連動した広告です。検索キーワードごとに顧客を分けられるため、CVにつながりやすいグループを特定した、効率的な広告配信ができます。また、PV数などのデータを参考にして、検討段階ごとの分類も可能です。これにより、属性に応じた情報配信ができるのに加えて、幅広い顧客層に効果的なアプローチが行えます。
ディスプレイ広告とは、顧客が閲覧したWEBサイトや商品などのデータをもとにして配信するタイプの広告です。WEBサイトを訪問した顧客をグループに分けて、年齢や性別などの基本的な情報もあわせて活用することで、自社の商品やサービスに興味があり相性のよいグループを把握できるため、CVにつながる可能性が高まります。
コンテンツマーケティングとは、顧客の購買プロセスを把握し、ターゲットにとって有益で効果的なコンテンツを提供するマーケティング手法です。広告という意識を持たれにくいため、商品やサービスに対する関心がない顧客にもみてもらいやすくなります。セグメンテーションを意識したコンテンツ配信により、CVにつなげやすくなります。
実際には、どのようにセグメンテーションを活用すればよいのでしょうか。ここでは、セグメンテーションを活用した企業の成功事例を3つ、紹介します。
ユニクロでは「Lifewear」という方針のもとでセグメンテーションを行い、成功に導いています。従来のアパレル業界では、年齢層や趣味趣向、流行など、顧客層からのセグメンテーションが一般的でした。
しかし、ユニクロは顧客層ではなく、商品でのセグメンテーションを選択し、カジュアルに着られるベーシックな服「Lifewear」に方針を統一しました。そのなかでカラーやサイズなどのバリエーションを豊かにして、自社にあった「全世代向け」という市場を生み出すことに成功しています。
「IQOS(アイコス)」を展開しているフィリップ・モリスでは、地理的変数と心理的変数をもとにセグメンテーションを行いました。この場合の地理的変数は、日本政府が税率軽減などの優遇措置に踏み切る可能性が高く、市場として魅力があるというものです。心理的変数は、日本人が周囲に対する配慮が強いというものです。結果として、有望な市場であると判断されて、「IQOS(アイコス)」は、1年間で約200万台の売り上げを達成しています。
パナソニックのレッツノートは、法人向けのニーズに絞ってセグメンテーションし、法人向けの中でも外回り営業担当者にターゲティング、長時間使用のバッテリーや屋外でもみやすいモニター、堅牢性などのニーズを満たした商品開発によるポジショニングを行いました。その結果ロングセラー商品となり、売り上げを伸ばしています。
セグメンテーションとは、顧客や市場を特性や属性ごとに分類する手法です。セグメンテーションにより、多様化する顧客のニーズにあわせたマーケティングがしやすくなります。
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