WEBマーケティング
ユーザーに直接アピールするようなマーケティング手法は、ユーザーから嫌がられる可能性があります。そのため、数あるマーケティング手法の中でも、インバウンドマーケティングが注目を集めています。この記事では、企業のマーケティング担当者に向けて、インバウンドマーケティングの定義や背景、メリット、具体例などについて解説します。
顧客から自社の情報をみつけてもらうためのマーケティング手法を「インバウンドマーケティング」と呼びます。具体的には、ユーザーが検索エンジンなどから自社サイトにたどり着き、そこで得た情報をユーザー自らがSNSで拡散することを狙う手法です。自社サイト各種コンテンツやホワイトペーパーなどを提供することがインバウンドマーケティングにあたります。
インバウンドマーケティングは、広告などで顧客を誘導せず、あくまでも顧客の意思で自社サイトをみつけ出し、訪問してもらうことを目的としています。
インバウンドマーケティングと似た用語に、「アウトバウンドマーケティング」と呼ばれるものがあります。アウトバウンドマーケティングとは、企業からユーザーに対して直接的なアプローチを仕掛けるマーケティング手法です。そのため、企業が届けたい情報を積極的に発信できるという特徴があります。
インバウンドマーケティングが受動的な側面がある一方で、アウトバウンドマーケティングは能動的な要素をもっています。
コンテンツマーケティングは、ユーザーにとって価値がある情報を提供し、商品購入や資料請求などのCVに結びつけるマーケティング手法です。インバウンドマーケティングは自社サイトの各種コンテンツやホワイトペーパーなどが該当することから、コンテンツマーケティングと同じように扱われるケースもあります。
しかし、コンテンツマーケティングは、インバウンドマーケティングの中の1つの手法であり、コンテンツマーケティングとインバウンドマーケティングは等しいわけではありません。
どういった背景から、インバウンドマーケティングが必要とされているのか、その理由を解説します。
情報通信政策研究所調査研究部では、2009年度に流通情報量や消費情報量に関する調査を行っています。調査結果によると、2001年を100とした場合、消費情報量は109とほとんど増えていません。一方、流通情報量は199まで増加がみられました。
調査結果から読み取れることはインターネット上に流れている情報は多いものの、消費者が活用できる情報量には限りがあるということです。企業が自社の知名度やCV率を高めるために莫大な予算を投入して広告を打ち出しても、消費者に届かない可能性が高くなっています。
※参考:我が国の情報通信市場の実態と情報流通量の計量に関する調査研究結果(平成21年度)|情報通信政策研究所調査研究部
広告は消費者からすれば、コンテンツの視聴や閲覧を妨げる存在として受け取られるケースも多いです。また、消費者は、企業からの情報よりも友人や家族などの信頼できる人の意見や口コミを重視している、という調査も発表されています。市場が消費者優位となっていて、企業側のアプローチが響きにくい傾向にあるといえます。
※参考:消費者が最も信頼する“広告”は、友人からの推薦、次いで企業サイト ~ 従来型広告もいまだ有効|Nielsen
インターネットの普及により、消費者は自らほしい情報を簡単に探せるようになりました。そのため、企業が積極的に情報を提供しても、消費者はすでにその情報を入手している可能性があります。労力やコストをかけてユーザーに直接アプローチするよりも、低コストで行えるインバウンドマーケティングが効果的な場面も増えています。
企業がインバウンドマーケティングを行うメリットについて解説します。
インバウンドマーケティングは顧客が知りたい情報を自分で自由に選択できます。顧客からすれば、企業からの過剰なアピールや押し付けのような印象を受けないため、かえって企業に対して良いイメージを抱きやすくなります。顧客へ積極的に売り込まずにCVへとつなげられ、企業側の負担も軽くなるでしょう。
広告を打たないインバウンドマーケティングは、マスメディアに広告費を支払う必要がありません。そのため、マーケティングにかかるコストの削減も可能です。それだけではなく、自社サイトなどで得た情報を消費者が口コミとして拡散してくれます。拡散力が高いSNSで情報が発信されれば、企業は低コストで多くの人に情報を届けられます。
インバウンドマーケティングでは、顧客は情報を選択することを前提としています。もともと自社や商品、サービスなどに興味をもっている消費者を対象にしているため、ターゲットを絞り込んだマーケティングが可能です。消費者の悩みや疑問を解決できるコンテンツを中心に提供すれば、関心の高い人だけを自社サイトに呼び込めます。
インバウンドマーケティングでは、消費者の購入プロセスごとに適切な施策を行う必要があります。
認知段階とは、自社や自社サイトなどの存在を消費者にみつけてもらう段階を指します。消費者の目にとまるようにするには、SNSやブログでの発信、コンテンツ作成、セミナーの実施などを行いましょう。認知段階では、商品やサービスに関する情報を発信するよりも、消費者が興味や関心のあること、トレンドにあった情報を提供します。
調査・理解促進は、認知段階で興味をもった消費者が商品やサービスについてリサーチをし始める段階に移ります。自社では、消費者が知りたいであろう悩みや疑問を解消するための情報発信を行います。たとえば、コンテンツの作成やメールマガジンによる情報発信、役立つ情報や資料をまとめたホワイトペーパーなどの配布も効果的です。
比較・選択は、消費者が予算を設定し、同様の商品やサービスを比較検討している段階です。商品やサービスを実際に購入しようと検討し始めており、前段階よりも購入の具体性が増しています。この段階では、商品やサービスの詳細情報を伝えましょう。無料体験や口コミの紹介、FAQなどを活用します。
最後の段階では、既存顧客に対するアプローチを実施します。顧客を自社のファンとして定着させるための施策を検討しましょう。具体的には、SNSなどで口コミを掲載してもらう、お客さまの声として意見をあげてもらうなどが挙げられます。
また、会員サイトへの登録を促したり、リピーター同士が情報共有を行える交流の場をオンライン上に設けたりする方法も有効です。
インバウンドマーケティングをより効果的に実施するには、以下の3つのコツを活用しましょう。
アウトバウンドマーケティングの効果は薄れてきてはいます。しかし、インバウンドマーケティングだけを行うよりも、アウトバウンドマーケティングと組みあわせて実施したほうがより効果を得られるでしょう。インバウンドマーケティングで獲得した顧客を、次はアウトバウンドマーケティングのターゲットにするといった方法も有効です。
インバウンドマーケティングは、情報を得たい消費者が消費者主体で情報を得るマーケティング手法です。多くの消費者に興味や関心をもってもらうためには、魅力的なコンテンツを提供する必要があります。オウンドメディアを運営している場合は、ユーザーに好まれる有益なコンテンツを作成しましょう。
消費者に情報を拡散してもらうためには、「誰かに伝えたい」と思われるような目新しい情報やコンテンツの提供を目指さなければなりません。SNSで拡散されれば、広告費をかけずに情報を広められます。どの情報が消費者の心に刺さるのかは予測できないため、手探りでやっていく必要があります。
ここでは、インバウンドマーケティングを活用した例を紹介します。自社でインバウンドマーケティングを実施する際の参考にしてください。
消費者の悩みを解決するような役立つ情報を掲載したブログを運営する方法も効果的です。自社の商品やサービスを紹介するだけでなく、それらに関連したコンテンツを作成します。そこから見込み顧客を獲得し、メールマガジンの登録やセミナーの申し込みなどへの誘導も可能です。
食品や調理機器など、料理に関連する製品を扱っている企業の場合、自社の製品を使ったレシピや活用方法の発信も有効な手段です。また、文章や画像のみのコンテンツのほかにも、実際に使用している映像を動画配信サイトに掲載するなどの方法もおすすめです。
インバウンドマーケティングは、アウトバウンドマーケティングと組みあわせて実施するとより効果的です。自社の商品やサービスに興味や関心をもつユーザーの傾向を知り、魅力的な情報を発信していきましょう。
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