CV
WEBサービスで成果を得る際に指標となるのがCVRです。CVRはConversion Rate(コンバージョンレート)の略で、WEBサービス訪問ユーザーのうち、商品の購入・問い合わせといった、WEBサービスの最終目標に至った件数の割合を示しています。
CVRの改善は、WEBサービスを運営する企業に大きなメリットをもたらします。CVR改善に当たってはツールを使用するのがおすすめです。
この記事ではCVR改善の方法や改善に役立つツールなどを解説します。
CVR改善について説明するに当たって、まずは基礎知識としてCVRについて把握しておきましょう。サイトにおけるCVRとは、購入や会員登録、広告クリックなどのコンバージョンに至った割合を指します。コンバージョンの内容は業種や業態によってさまざまですが、CVR自体は次の計算式で算出可能です。
セッション数とはユーザーがサイトに流入してから離脱するまでといったように、決まった期間にサイトを訪れたユーザーの訪問回数を意味します。
例えば、コンバージョン数が500件、セッション数が3万件だった場合のCVRは次のとおりです。
CVRを構成する指標のセッション数に似たものとして、PV(ページビュー)数が挙げられます。セッション数が特定期間にサイトに訪れたユーザーの数を示すのに対し、PVは表示されたページをカウントします。例えば1人のユーザーが朝と昼に同じページに2回アクセスした場合、セッション数は2、PV数は2となります。
PV数の他にも、セッション数に似た言葉としてユーザー数が挙げられます。ユーザー数は特定の期間内で自社サイトを訪問したユーザーの数です。例えば、ある人が同じサイトを朝と昼の2回訪れた場合、その間にユーザーがサイトを離脱していても、ユーザー数は1とカウントされます。一方、セッション数は2とカウントされます。
CVRの改善が必要な理由は、WEBサイトに訪れたユーザーを、効率的にサービスや商品の購入、問い合わせなどにつなげるためです。
次の例は、一つのサイトのコンバージョン数、セッション数、CVRを表したものです。
サイト | コンバージョン数 | セッション数 | CVR |
---|---|---|---|
自社サイト全体 | 700 | 3万 | 2.3% |
ページA | 200 | 3,500 | 5.7% |
ページB | 200 | 5,000 | 4.0% |
ページC | 40 | 600 | 6.6% |
自社サイト全体が最もセッション数、コンバージョン数が多いものの、CVRは最下位です。一方、ページCはセッション数、コンバージョン数とも最も少ないものの、コンバージョン率は最多です。つまりページCは少ないセッション数、コンバージョン数ながらも、効率的に成果につなげられているということになります。
さらにCVR改善の効果を知るために、今度は客単価1万円で流入数が1万件、売上が100万円、CVRが1.0%の通販会社の例を考えてみましょう。CVRを2.0%に引き上げられると、売上は次のように変化します。
CVR | 流入数 | 客単価 | 売上 | |
---|---|---|---|---|
現状 | 1.0% | 1万件 | 1万円 | 100万円 |
改善 | 2.0% | 1万件 | 1万円 | 200万円 |
CVRを改善すれば、流入数や客単価はそのままでも、売上の向上につなげることができるのです。
CVR改善のために分析を進める際は、事前に次のようなことを把握しておきましょう。
まずはなぜ取り組むのか目的を明確にしておきましょう。目的を明確にしておくことで、課題や解決のための施策を導き出しやすくなります。
一面的な分析に終始してしまうと、解決策を導き出せない可能性があります。多角的な視点で分析することで視点が変わるため、行き詰まりの打破や新たな解決策のひらめきにつながるでしょう。
CVR改善のための分析は定量データだけではなく、定性データも対象にしましょう。数値だけを頼りにしていては、実態とのずれが生じてしまう可能性があります。アンケートを取って問題点を挙げてもらったり、口コミから顧客の本音をうかがったりと、数値だけでは測れない情報にも目を向けることが大切です。
CVRの改善に取り組む際は次のような手段が効果的です。
CVR改善を図る上ではサイトが想定しているターゲットに誤りがないかを確認しましょう。誤ったターゲットに届いていても、CVにはつながりません。
適切なターゲットにアプローチするためには、より詳細な情報を設定するペルソナを意識することが大切です。ペルソナを設定すればターゲットであるユーザーの行動特性などを想定したアプローチが可能です。
マーケティングにおけるペルソナとターゲットの捉え方は次のとおりです。
例えばターゲットは年齢や住所、職業、興味があることなどを設定します。一方、ペルソナは自社サービスと関連する情報をはじめ、より詳細に項目を設定します。例えば不動産業者がペルソナを設定するのであれば次のように設定しましょう。
ペルソナを設定することで、訴求すべき相手が具体的になるため、悩みの解決策を提示しやすくなります。
CVまでの導線の設計を見直すことでも、CVR改善が期待できます。CVまでの導線とはユーザーに取って欲しいアクションを想定した経路のことです。ライティングやカラーリング、デザイン、配置といった導線を見直すことで、ユーザーはCVまで辿り着きやすくなり、CVR向上につながります。
見直しの際は、ツールを活用するのも効果的です。おすすめのツールについては、後半で詳しく解説します。
LPの最適化とはLPOと呼ばれ、商品やサービスについてまとめたLPをユーザーのニーズに応じた内容に変更することを意味します。コンバージョンを獲得する経路はいくつもあります。コンバージョン獲得経路のうち、LPが多くを占めるサイトの場合、特にLPOは有用な取り組みです。
LPOに取り組む際は次の4つの指標に注目しましょう。
例えばファーストビューからの離脱率が多いのであれば、ファーストビューの段階で申し込みボタンを設置することで最適化が期待できます。
LPの最適化を図るLPOと同じく、WEBマーケティングにおける施策の一つがSEOです。LPOの目的がサイトに訪問したユーザーのCVR向上なのに対して、SEOはサイトへの訪問者を増やすことが目的です。そのため、SEOでは検索エンジンで上位表示されるような施策に取り組みます。
LPOと同じく最適化することでCVR改善が期待できるのが申し込みページです。顧客が利用する申し込みページの最適化への取り組みはEFO(Entry Form Optimization)と呼ばれ、CVR改善方法の一つです。
ユーザーが申し込みページで離脱するケースは次の3つに分けられます。
例えば申し込みページに入力しようとしても、項目が多いと離脱してしまう可能性が考えられます。CVR改善のためには入力項目数を減らすなど、ユーザーがモチベーションを下げないような申し込みページに最適化しましょう。
ユーザーがページを開こうとして、読み込むまでの時間が長いとCVRの低下につながりかねません。そのため、ページの読み込み速度を最適化してCVR改善につなげましょう。例えば、ページの構成を見直してHTMLを最適化する、不要タグを削除するなどの方法でページの読み込み速度最適化が期待できます。
CVRを改善する方法の一つとして挙げられるのが、CTAやCVポイントの出現回数を増やすことです。例えばポップアップでCTAを表示する、チャットツールにCTAを埋め込むなどの方法が挙げられます。チャットツールであればその場でサイト上でユーザーが抱く商品やサービスについての質問を解消できるため、よりCVにつながる可能性が期待できます。
またCTAが分かりづらい場所にあるといったケースも、CVR低下につながります。そのためCTAを出現させる際は、ユーザーにとって分かりやすい場所に設置しましょう。例えばスマートフォンの場合、押しやすい位置にCTAが出現するかどうかを意識することで、CVR改善が期待できます。
CVR改善は具体的に次のような方法で進めていくのがおすすめです。
CVR改善を進めていくには顧客体験の最適化を意識しましょう。 CVR改善に取り組もうとすると、目の前にあるCVをいかに効率的に獲得するかに注力してしまいがちです。しかし、CVR改善に取り組むのであれば、商品やサービスを申し込むまでにストレスがないかを確認し、顧客体験の最適化に取り組む必要があります。商品やサービスを申し込むまでの過程にストレスがあると、ユーザーは離脱してしまうでしょう。
例えば商品やサービスの申し込みに必要な情報を入力する際、入力項目が多過ぎると、顧客はストレスを感じて離脱する可能性があります。入力項目を精査して厳選することで、ストレス軽減が期待できます。郵便番号を入力すると自動で住所が入力されるといった入力補助機能を活用することも、顧客体験の最適化につながる方法です。また顧客の行動を分析し、それぞれに応じた商品やサービスをレコメンドすることも、顧客体験の最適化への良い影響が期待できます。
顧客体験を最適化するには、商品やサービスの購入後のケアも欠かせません。例えばECサイトの場合、商品に試供品を同梱することで、ユーザーからのポジティブな口コミが期待できます。ユーザーがポジティブな口コミを投稿してくれれば、自社にとって有益な宣伝となるでしょう。
LPを用意しているサイトの場合、申し込みまでの流れを改善するには次の点に着目します。
まずはLPからどれだけ成約に至っているか、LPのCVRを確認して改善が必要かどうかを把握してみましょう。
LPはファーストビューでユーザーに対してアピールできていることが大切です。ファーストビューからどれだけ離脱しているか分析した上で、ぱっと見ても分かるように商品やサービスについてアピールしましょう。例えば商品の実際の写真を掲載する、サービスのイメージが伝わる写真を掲載するなどで、ユーザーにアピール可能です。
申し込みフォームに多くの入力項目を記入しなければならないと、ユーザーが離脱する可能性が高まります。フォームへ移ったユーザー数を把握して、そのうちどれだけのユーザーが離脱してしまっているかを分析してみましょう。離脱率が高い場合は入力項目を選別し、不要な項目をできる限り省いてみてください。
入力項目の厳選に加えて、選択式や自動入力の仕組みを採用することも、ユーザーの負担軽減に効果的です。他にも次のような方法が申し込みフォームの改善策として効果的です。
LPに設置するCTAには訴求のための文言を掲載するのが一般的です。しかし、文言の内容によっては、ユーザーがクリックを控えてしまう可能性があります。
例えば「今すぐ購入する」という文言を目にしたとき、ユーザーの中にはハードルが高く感じる人もいるでしょう。そのため、「カートに入れる」と言い換えることで心理的な負担を軽減可能です。具体的な文言がないことに不安を感じるユーザーもいるため、単なる「送信」ではなく「問い合わせの送信」といったように具体的に記載するのもおすすめです。
またCTAは文言だけでなく色も関係します。一般的にCTAのボタンとして効果が期待できるのは緑色とされています。
さらにCTAは、出現回数を増やすことでもCVR改善に貢献します。とはいえむやみに回数を増やすのではなく、ポップアップやチャットを活用するとよいでしょう。ポップアップやチャットをうまく取り入れてユーザーに次のアクションを明示すれば、離脱率を減らすことができる、CVにつなげやすくなります。
ユーザーとコミュニケーションを取る仕組みの一つがWEB接客の実践です。WEB接客とは実店舗のような接客をWEBで行う取り組みを指します。チャットをはじめとしたツールを活用してユーザーとコミュニケーションを取りましょう。
CVR改善を目指すのであればツールの導入を検討してみましょう。例えば次のようなツールがおすすめです。
CVR改善の一環としてLPのデザインを変更したら、どれだけ効果があるかを確認する必要があります。その際、Aパターン、Bパターンという2つのパターンを公開してどちらがどれだけ効果が期待できるかをABテストとして比較することがあります。ABテストを実施する際に活用できるのはABテストツールです。
ABテストツールを使えばパターンA、パターンBどちらがCVやクリック率が高かったのかなどを把握できます。他にもABテストツールを導入するメリットとして以下が挙げられます。
ABテストを専用ツールなしで実施しようとすると膨大な時間が掛かりかねません。ABテストツールがあれば、パターン作成機能やいくつものパターンを管理する機能によって効率的に作業を進められます。
ABテストツールは統計学の手法を用いて効果を測定します。効果測定の結果、デザインやレイアウトといった主観的になりがちな項目もパターンごとに優劣をつけることが可能です。そのため、主観的な意見になりがちな項目であっても数値に基づいた改善が可能です。
ヒートマップツールを活用することで、次のような情報を把握できます。
例えば終了エリアを確認して、ユーザーがファーストビューですぐに離脱しているようであれば、コピーやデザインの改善をすることで離脱防止につながります。ヒートマップツールの結果を分析することで、CVR改善が期待できるでしょう。
またヒートマップツールはCVの導線設計を見直す際にも活用可能です。ヒートマップでユーザーの行動を分析し、想定外の行動をしているのであれば、導線の設計を見直してみましょう。
なおヒートマップツールは特定のページしか分析できません。ユーザーがサイト内でどのような行動を取っているのかを詳しく知るには、一つのページだけでなく、サイト全体を対象に分析する必要があります。
アクセス解析ツールとは、自社のサイト内でユーザーがどのような行動をしたかを解析するツールです。アクセス解析ツールは設定を施すことで、サイト全体のCV数やCVRを自動で算出できます。これらのデータを基に新たな対策を練り、実施していくことでCVRの改善につなげられるでしょう。
アクセス解析ツールは大きく次の3つに分けられます。
サーバーログ型はサーバーに残ったアクセスログを基に解析するツールです。サーバーにログがある限り過去の動向も分析できます。しかし、リアルタイムの分析ができない、サイトが大きくなると解析に時間が掛かるといったデメリットもあります。
WEBビーコン型はページに設けられているJavaScriptが作動して、読み込まれたページ情報を解析するツールです。サードパーティによるツールを使用すれば、専用サーバーを用意する必要ないためスムーズに導入できるでしょう。JavaScriptが作動しないとアクセスを解析できない点には注意が必要です。
パケットキャプチャリング型はサーバーのネットワークに専用のツールを設置してユーザーの行動を把握し、アクセス解析サーバーで解析するツールです。パケットキャプチャリング型のメリットは、詳細なアクセス解析が可能になるという点です。しかし、専用のサーバーが必要なため、初期導入費用がかさんでしまいます。
ユーザーとコミュニケーションを取るためのツールがWEB接客ツールです。WEB接客ツールはチャット型、ポップアップ型に分けられます。
チャット型のWEB接客ツールは、ユーザーとリアルタイムのチャットでやり取りできる仕組みです。チャットの利用により、型であればユーザーはその場で商品、サービスの疑問点を質問可能です。大きく次の2つに分けられます。
チャットボットは対応にむらがない上に、人件費を削減できるというメリットもあります。しかし、回答精度を高めるまでに時間とコストが掛かってしまうというのがデメリットです。対して有人タイプは人件費が掛かり、対応できる顧客の数が限定されるというデメリットがあります。その代わり複雑な問題に対応でき、顧客のニュアンスまでも読み取ることが可能です。
ポップアップ型のWEB接客ツールはユーザーのパソコンやスマートフォンに、ポップアップとして情報や案内を表示するというものです。ユーザーの行動特性などの履歴を分析し、適したタイミングで情報を表示できます。そのため、ユーザーの購入や申し込みを後押しすることが可能です。
またポップアップ型のWEB接客ツールは、ユーザーがどのような属性であるかを判断するためにも活用できます。例えば、不動産仲介会社の場合、顧客となるのは不動産を売りたい売主もしくは貸したい貸主、不動産を購入したい買主もしくは借りたい借主です。そのため、サイトではユーザーが売主(貸主)なのか買主(借主)どちらなのかを判断する必要があります。
どちらであるかを判断する方法として、ポップアップで質問するという方法が挙げられます。ユーザーが売主(貸主)か買主(借主)かを判断することで、適切なページに誘導可能です。
ポップアップ型で注意すべきなのが、表示する頻度と閉じるマークの大きさ、関連性です。ポップアップが表示される頻度が多過ぎると、ユーザーは煩わしく感じてしまうでしょう。また閉じるマークが小さい、内容に関連性がないといった場合もユーザーのサイト利用を妨げてしまうため、注意が必要です。
CVR改善のために顧客体験を最適化させる際には、WEB接客ツール「Flipdesk」の導入がおすすめです。「Flipdesk」は次の3つの基本アクションによってコンバージョンや離脱防止につなげます。
「Flipdesk」はチャットボット「Cross Talk」と連携することも可能です。具体的には「Cross Talk」で取得したデータを「Flipdesk」でターゲティングの条件として活用できます。
「Cross Talk」は有人チャットへの切り替えもでき、ユーザーがチャットボットでは解決できない複雑な質問を投げかけた際は、有人対応によって解決可能です。人が複雑な質問に対応することで、顧客体験の最適化につなげられます。
WEBサービスにおいてはCVRを改善すると、売上や問い合わせ件数などの増加につながります。CVRの改善は、流入数や客単価などの向上を図るよりも効率的に成果を見込めるでしょう。
CVR改善をするための手段には、ターゲットに誤りがないかを確認する、CVまでの導線の設計を見直すなどが挙げられます。実際に行う際は、ABテストツール、ヒートマップツール、アクセス解析ツール、WEB接客ツールなどを活用するのがおすすめです。
「Flipdesk」は収集した顧客データに基づいて、それぞれに適したWEB接客を提案するWEB接客ツールです。パーソナライズしたWEB接客を提供することで顧客体験を向上させ、CVRの改善を目指せます。また「Flipdesk」とチャットボット「Cross Talk」とを連携させることで、顧客体験をさらに高められます。ECサイトなどのCVR改善を目指している方は、ぜひお気軽にご相談ください。