WEBマーケティング
近年、マーケターの間で「カスタマージャーニー」が重要視されています。この記事では、カスタマージャーニーについて理解を深めたいマーケティング担当者に向けて、カスタマージャーニーの概要からマップの作成手順、メリット・デメリット、注意点までを解説します。効果的なマーケティング施策を検討する際の参考にしてください。
カスタマージャーニーの直訳は「顧客の旅」です。顧客がどのように商品などの存在を認知して、購買欲を刺激され、購入に至ったのかという行動のプロセスを旅にたとえています。ビジネスシーンでは、複雑化しやすい顧客の行動や思考、感情などを表す言葉として活用されており、マーケティングの成果につながる本質的な考え方として認知されています。
カスタマージャーニーマップとは、顧客が購入に至るまでの行動の流れを時系列に沿って図案化したものです。マップを確認すれば、顧客のタッチポイントがどこにあり、どのような足跡をたどって購入に至ったのかを把握できます。タッチポイントとは、商品やサービスなどの情報やそれを得た場所を指します。
インターネットの普及により、ホームページだけでなく、SNSなどからさまざまな情報が得られるようになりました。そのため、顧客の購入行動はこれまで以上に多様化、複雑化しています。従来のように、特定のターゲットに絞り込んでアプローチするだけでは、十分なマーケティングは行えません。自社のブランド価値を高めるには、顧客の購入行動への理解が必要です。
カスタマージャーニーマップの作成には、ペルソナの設定が必要です。ペルソナとは、企業が理想とする架空の顧客像のことです。年齢や性別だけでなく、家族構成や職種、年収などを詳細に設定し、人物が実在するかのように練り上げます。ペルソナを明確にできれば、一貫性の高いマップを作成できます。
カスタマージャーニーマップを作成した場合、企業がどのようなメリットを得られるのかについて解説します。
マップを作成すれば、顧客に寄り添ったマーケティング施策を検討できます。マーケターは、自社の立場や自身の役割の範囲内で施策を考えがちなため、結果的に顧客の立場とはかけ離れた施策を提案してしまうことがあり、失敗に陥りやすくなります。その点、マップを作成すれば、顧客のタッチポイントを分析できるうえに、効果的なマーケティング施策の提案が可能です。
マップは、顧客の購入行動を深く理解するためだけではなく、部署やチーム内で情報を共有したい場合にも便利です。マップを通し、ペルソナや顧客の行動に対する共通意識が生まれやすくなります。さらに、部署やチーム、立場が異なる場合でも、同じベクトルでマーケティング施策を進められます。
図案化したマップは、作成に携わったチーム以外の人への説明もしやすくなります。作成に携わっている人であれば、データや口頭での説明だけで理解できるでしょう。しかし、それ以外の人に説明する場合、同じ説明をしても情報が不足しているため、相手の理解は得られません。
マップを提示すれば、他部署でも顧客の視点を簡単に体験できるため、迅速な意思決定が可能になります。
企業がカスタマージャーニーマップを作成する場合、以下のデメリットについても考慮する必要があります。
事前調査やWEB解析などの作業が必要になるため、マップを完成させるまでに時間や手間がかかります。また、最初から完成度の高い複雑なマップを作ろうとすれば、さらに多くの情報収集やデータ解析が必要です。そのため、想定以上の時間をかけてしまいます。
すべての顧客が購入に至るわけではありません。なかには、商品やサービスを認知したものの、行動せずに拒否反応を示す顧客も存在します。マップの作成時に、ネガティブな反応を想定せず、企業側が顧客にとってほしい行動を想定してしまう点は、デメリットといわざるを得ません。
マップを作成しているうちに、完成を目的化してしまうケースがあります。しかし、マップを作成しただけでは、具体的なマーケティングの成果につながりません。マップの作成は、あくまでも通過点にすぎず、PDCAサイクルを回して定期的に検証と改善を行う必要があります。
カスタマージャーニーマップを作成する際、以下の3つのポイントが大切です。
マップを作成する際、一貫してペルソナの視点で顧客の行動心理を理解することが大切です。ペルソナの思考や感情などは、タッチポイントごとに変化しています。どのような情報に触れ、それによってどんな心理状態になったのか、具体的にどのような行動を起こすのかを想定する必要があります。
最初から複雑なマップを作成しようとすれば、完成させることが目的になってしまいます。また、実現性が低くなる可能性も高いです。最初はシンプルなマップを作成し、検証や改善を繰り返しながら、徐々に精度を高めていくようにしましょう。また、誰がみても理解しやすくなるため、マーケティングの実施もスピード感をもって行えるようになります。
マップを作成する際、点ではなく線で顧客の心理変化や行動を把握する必要があります。ここでいう点とは、ペルソナの行動だけを評価することです。一方、線とはマップ全体を俯瞰してみることを指します。広い視点をもってマップを作成できれば、従来では思い浮かばないようなマーケティングにおける課題や提案を考えられるようになります。
ここでは、カスタマージャーニーを作成する際の全体の流れについて、時系列ごとに解説します。
マップ作成でベースになるものがペルソナです。年齢や職業、居住地、家族構成、情報源などを具体的に設定します。顔写真などがあると、ペルソナがより明確になります。ペルソナの設定後は、マップ全体のゴールを決めましょう。ゴールには、商品やサービスの購入、問い合わせ、資料請求、申し込みなどを設定します。
ペルソナやゴールを設定したら、フレームを選びます。横軸を「認知」「興味や関心」「比較検討」「購入」といった購買プロセスにした場合、縦軸にはタッチポイントや行動、思考や感情、課題を設定します。マップ作成には、マトリクスを用いたフレームの活用が一般的です。さまざまな種類のフレームがあるため、ペルソナやゴールにあったものを使用しましょう。
次に、ペルソナの感情や行動、タッチポイントに関する顧客情報を収集します。情報収集の方法には、定量調査や定性調査があります。定量調査とは、自社サイトなどを解析して得られたデータを集める方法で、定性調査は顧客の言葉や行動といった数値化できないデータを収集する方法です。
オンラインとオフラインでの調査を活用し、多角的な視点での情報を集める必要があります。
必要な情報を集めたら、ペルソナの行動や思考、感情をフレーム内に該当する位置にマッピングします。最初から複雑に考えず、ラフなマッピングを行いましょう。このとき、特定の部署やチームだけで行わずに、複数の部署を巻き込んで作成したほうが現実味のあるマップを作成できます。
マッピング後は、グループ分けをしながら情報を整理していきます。このとき、購入に至るまでのペルソナの行動や思考、感情の変化を意識してストーリーと結びつけます。文字ではわかりにくい部分や情報量が多い部分は、イラストや図、画像などを用いて、誰がみてもわかりやすいように工夫しましょう。
カスタマージャーニーマップをよりわかりやすくするために効果的な具体例を3つ紹介します。
ペルソナの思考や感情、行動、ストーリーの流れを文章にすると文字量が増えるため、わかりにくいマップになってしまいます。これらの変化をイラストや折れ線グラフなどで表現すれば、ペルソナの動きが伝わりやすくなります。
単色ですっきりさせたマップの作成も1つの方法ですが、色分けをするとさらに変化がわかる表現にできます。たとえば、顧客の購入意欲が高まるにつれて、グラデーションを濃くするなどの方法も効果的です。
縦軸にファクトの項目を作成して統計データを記載すれば、より説得力がある独創的なマップを作成できます。たとえば、色分けした円グラフや横棒グラフなどが挙げられます。
カスタマージャーニーマップの作成にかかわる人は、以下の2つのポイントに注意しましょう。
顧客の傾向だけでペルソナやゴールなどを設定すれば、現実とかけ離れたマップを作ってしまう可能性があります。ペルソナは、より具体的に、実在する人物がいるかのようにリアルな設定を心がけましょう。また、顧客目線を意識したタッチポイントを考察することが重要です。
店舗やDM、商品カタログなどのタッチポイントの種類によっては、データを分析できないケースも出てきます。そのため、マップを作成してもすべてを網羅できるわけではありません。マップは、あくまでも顧客の行動や感情、思考などを時系列に理解するためのものです。複数のペルソナを設定する場合は、ペルソナの数だけマップを作成する必要があります。
カスタマージャーニーマップを作成すれば、顧客の目線に立ったマーケティング施策を提案できます。顧客に関する情報を収集する際、自社サイトの訪問者の行動もあわせて分析しましょう。
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