WEB接客
ECサイトを運用する際は、サイトを訪れたユーザーに自社の商品やサービスの魅力を伝え、顧客になってもらうことが大切です。その際ポイントになるのが接客です。一般の店舗と同じくECサイトにおいても、接客によって売上の向上が期待できるでしょう。
本記事ではECサイトにおける接客のWEB接客が求められる理由や、専用のツールについて解説します。
ECサイトにおけるWEB接客とは、サイトに訪れたユーザーに対して行う接客を指します。例えば実店舗であれば、店員が来店客に対し、商品の説明や提案といった接客を行うのが一般的です。これにより、販売機会の損失を防げます。
従来の一般的なECサイトにおいては、集客をして商品やサービスなどを紹介するだけで、訪れたユーザーに対する接客はできませんでした。しかしWEB接客の機能が備わったECサイトであれば、訪れたユーザーにオンライン上で接客ができるため、販売機会の損失を防げます。
WEB接客が求められる理由として、ECサイトの需要が高まっている点が挙げられます。ECサイトの需要が高まった要因の一つが、新型コロナウイルスの感染拡大です。ECサイトであれば対面での取引がないため、感染症の感染リスク軽減が期待されました。
ECサイトの需要の高まりは市場規模の推移から分かります。経済産業省による電子商取引に関する市場調査の結果によれば、2018年から2022年までのBtoCのECサイト市場規模は次のとおり推移しています(※)。
2020年から2021年は1兆円以上、2021年から2022年は約2兆円市場規模が増加しました。なお新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言が初めて発令された2020年は、前年よりもわずかに減少しています。これは旅行などのサービス分野のECサイトの市場規模の減少による影響が大きく、ECサイトなど物販分野の市場規模は増加しています。
※参考:経済産業省.「電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました」.
https://www.meti.go.jp/press/2023/08/20230831002/20230831002.html ,(参照 2024-05-08).
市場規模が拡大しているのはBtoCのECサイトだけではありません。企業間取引であるBtoBのECサイトも市場規模は拡大傾向にあります。
経済産業省の発表では2022年のBtoB ECサイトの市場規模は420.2兆円でした。前年が372.7兆円、前々年が334.9兆円なのを踏まえると前年からは約50兆円、前々年からは約86兆円も増加しています(※)。
※参考:経済産業省.「電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました」.
https://www.meti.go.jp/press/2023/08/20230831002/20230831002.html ,(参照 2024-05-08).
ECサイトでWEB接客を行えば、次のような3つのメリットにつながります。
ECサイトでWEB接客を行えば、販売機会損失の防止が期待できます。ECサイトに商品やサービス内容だけを掲載していては、ユーザーがサイトを訪れてもすぐに離脱しかねません。しかし、WEB接客でユーザーにアプローチすればサイトを離脱するユーザーが減り、販売機会の防止が可能です。
またWEB接客でユーザーをケアすれば、複数商品の購入につながります。その結果、客単価の向上も期待できるでしょう。
ECサイトによるWEB接客は顧客満足度の向上につながります。WEB接客に特化したツールを活用すれば、サイトを訪れたユーザーとリアルタイムで対話が可能です。リアルタイムでユーザーと対話できれば、抱えている疑問や課題をスピーディに解決できます。
顧客が抱えている疑問や課題に対しての対応が遅れてしまうと、顧客はストレスを感じてしまいます。しかし、WEB接客ツールを活用してリアルタイムで回答できれば顧客の満足度向上が可能です。また顧客それぞれのニーズに応じたコミュニケーションの提供ができれば、より顧客の満足度を高められます。
ECサイトにおけるWEB接客は、実店舗よりもさまざまなユーザー情報を把握できます。実店舗での取引では顧客のメールアドレスや生年月日、年齢などの詳細な情報をヒアリングする機会は少ないでしょう。しかし、ECサイトであれば商品の発送をはじめ、さまざまな理由でユーザーの基本情報を取得可能です。また、サイト内での行動履歴も分析可能です。
ユーザーの基本情報やサイト上での行動履歴を分析すれば、マーケティングに活用できます。
ECサイトのWEB接客によるメリットを得るためには、専用のツールを導入するのがおすすめです。WEB接客ツールは、チャット型とポップアップ型の2つに分けられます。
チャット型はサイトに埋め込んだチャットを通じて、顧客とコミュニケーションを取ります。チャット型のWEB接客はサイトを訪れた顧客が情報の記入や選択を行うため、ポップアップ型のように自社で細かな表示設定をする必要はありません。チャット欄はサイトの右下のように、顧客がサイト閲覧する際の邪魔にならないようにするのが一般的です。
チャット型はさらに次の2つに分けられます。
オペレーターが対応するチャット型のWEB接客ツールは、顧客の質問に対して臨機応変な対応が可能です。また、システムでは対応しきれない複雑な情報や問い合わせにも対応できます。
一方でオペレーターが対応するタイプは、対応できる時間に制約が発生する傾向にあります。例えば深夜や早朝はオペレーターが対応するのは困難でしょう。また、オペレーターへの人件費が発生するためコストがかさんでしまいかねません。そのため、システムと併用するケースもあります。
チャット型の中でもシステムを活用するタイプは、顧客に均一した対応が可能です。オペレーターが対応するタイプの場合、担当者の経験などによって対応にムラが発生する可能性があります。一方、システムを活用するタイプであれば均一した対応を提供できるため、顧客満足度向上につながります。
またシステムを活用すれば、人件費を削減しながら効率的にユーザーの接客を行うことが可能です。
ポップアップ型のWEB接客は、パソコンやスマートフォンなど顧客が使用しているデバイスの画面上に、おすすめの商品やサービスなどをポップアップで表示させる方法です。
ポップアップを表示するタイミングや対象、方法は自社で設定可能です。例えば、商品ページやLPといったように、成約につながりやすいタイミングで表示させれば、効果的にポップアップ機能を活用できます。また商品ページでキャンペーン情報をポップアップで表示させれば、顧客の商品購入を後押しして客単価の向上につながるでしょう。ポップは画面のスクロール量に応じた表示も可能なため、商品やサービスに強い興味を持っているユーザーにだけの訴求も可能です。
ポップアップ表示で注意すべきなのが過度な表示です。サイト閲覧中に頻繁にポップアップが表示されると顧客にとってストレスとなり、サイト離脱につながりかねません。
ECサイトに導入するWEB接客ツールを選ぶ際は、次のような点に着目しましょう。
WEB接客ツールを導入する目的は企業ごとに異なります。例えば販売機会損失を防止するのであれば、ポップアップタイプの機能が備わったWEB接客ツールが効果的です。一方、チャットタイプの機能が備わったWEB接客ツールであれば、顧客の疑問の解消により顧客満足度の向上が図れます。
WEB接客ツールはクラウド型、オンプレミス型に分かれます。クラウド型はコストを抑えて導入できる点、保守やメンテナンスの負担が少ない点などがメリットです。しかし、カスタマイズ性に欠けるといったデメリットがあります。さらにベンダーがセキュリティを管理するため、自社ではセキュリティをコントールできないのが一般的です。
オンプレミス型はクラウド型よりもカスタマイズしやすく、自社でセキュリティ対策を講じられるメリットがあります。一方でオンプレミス型は導入費用が高額になる他、保守とメンテナンスを自社で対応する必要があります。
WEB接客ツールを導入する際はクラウド型なのかオンプレミス型なのか、自社の運用体制に応じて選びましょう。
WEB接客ツールを検討するなら、サポート体制にも着目しましょう。WEB接客ツールは、導入の際にさまざまな疑問や不明点が社内で発生する可能性があります。発生した疑問や不明点を解消するためには、ベンダーのサポート体制が重要です。サポート体制を確認する際は、次のような点を意識しましょう。
ECサイトでWEB接客を行う際は、次のような点に注意しましょう。
ECサイトでWEB接客を行うには専用のWEB接客ツール導入が欠かせません。WEB接客に取り組むとなった場合、ツール導入が目的化してしまうケースがあります。しかし、WEB接客ツール導入のみで満足してしまっては、WEB接客本来のメリットを得られない可能性があります。
WEB接客ツールを導入してメリットにつなげるには、PDCAサイクルを回すことが大切です。PDCAサイクルとは以下の頭文字を取ったフレームワークです。
PDCAサイクルを回すことで業務改善やWEB接客ツール導入のメリットにつなげられますが、実行に当たっては次のような点を意識しましょう。
PDCAは長期的に業務を改善するフレームワークです。そのため、WEB接客の成果を出そうと、結論をすぐに決めるのは避けましょう。また、結果を急いでしまい計画を立てずに、実行と改善だけをすると望んだ結果を得られない可能性もあります。
PDCAは無理のない計画を立てることも大切です。計画はPDCAにおいて重要な要素です。計画を立案する際は、自社の現状で実現可能なものにしましょう。自社では実現できないような計画を立ててしまうと、PDCAサイクルを回せない可能性があります。
PDCAサイクルは数値に基づき具体的に行いましょう。例えば、WEB接客ツールで顧客満足度を向上させるといった計画を立案したとしても、具体性に欠けるため、確認作業や改善策に結び付けにくくなってしまいます。顧客満足度向上の計画を立てるのであれば、アンケートを通じて測る顧客満足度を〇%以上にするといったように具体性を持たせましょう。
PDCAサイクルは継続して回すことが大切です。PDCAサイクルは一度や二度実施しただけでは、すぐに状況が改善するわけではありません。PDCAサイクルを継続して回していくことで、業務改善も継続的に行えます。
WEB接客ツールを導入する際にはコストが発生します。WEB接客ツール導入で発生するコストはツールの種類やプランによって異なりますが、一般的に発生するコストの種類は次のとおりです。
WEB接客ツールに備わっている機能はサービスによって異なります。そのため、自社がどのような機能を求めているかを洗い出しましょう。コストばかりを意識して自社が求める機能が備わっていないサービスを選んでしまっては、目指している業務改善につながりません。一方、必要以上の機能が備わっていると想定よりもコストがかさんでしまう可能性があります。
WEB接客ツール導入にかかるコストはツールそのものの費用だけではありません。WEB接客ツールを導入しても準備や担当者の教育コストも発生します。例えば、システムを活用するチャット機能を作動させるためには、シナリオ作成のために従業員の時間を割く必要があります。また、業務フローに変化が発生するため、ツールを使用する担当者の教育コストも必要です。
WEB接客ツールのようにオンラインでユーザーとコミュニケーションを図るツールとして、MAツールが挙げられます。WEB接客ツールとMAツールでは対象者が次のとおり異なります。
WEB接客ツールはMAツールと併用が可能です。例えば、WEB接客ツールで匿名のユーザーに適したコミュニケーションを取り資料請求を目指します。資料請求でユーザーの情報を得たら、見込み顧客としてMAツールを用いて相手に応じたコミュニケーションを取り、商品やサービスの購入につなげられます。
WEB接客ツールは顧客に対してコミュニケーションを図れるものの、相手が不快に思うケースもあるでしょう。例えばポップアップは客単価の向上につながるものの、ユーザーの満足度を低下させる可能性があります。ポップアップが頻繁に表示されると、ユーザーは煩わしくなり、サイトを離脱しかねません。またサイトの内容と関係ないポップアップも、ユーザーが不快に思う可能性があります。
ポップアップでユーザーを不快にさせないためには、どのような表示方法が適しているかを分析して、適切なアプローチを施しましょう。
WEB接客ツールの使い勝手は顧客の通信環境にも左右されます。顧客の通信環境によっては遅延が発生してしまい、商品やサービスの魅力を伝えきれない可能性があります。また使用するツールによっては、専用のアプリのインストールが必要です。ストレスなくECサイトを利用してもらうためには、事前にインストールを依頼しておきましょう。Wi-Fi環境下での接続を推奨するのもおすすめです。
WEB接客ツールは情報を正確に伝える工夫が必要です。サイト上では商品やサービスの情報を、対面よりも伝えにくい傾向にあります。対面であれば触覚や味覚、嗅覚などさまざまな情報から商品やサービスを判断可能です。サイト上ではこれらの情報を伝えられないため、情報を正確に伝えることが大切です。例えばサイズを表現するのであれば、抽象的な表現は避け、数字や基準を用いて明確に伝え、誤解が生まれないようにしましょう。
ECサイトでのWEB接客におすすめのシステムが「Flipdesk」です。「Flipdesk」はサイトを訪れたユーザーの訪問や閲覧、購買データをもとに、それぞれに応じた情報をアプローチします。「Flipdesk」を活用する事例として、以下が挙げられます。
初めてサイトを訪れたユーザーに対して、どのような商品が人気なのかなど提示すれば離脱を防止可能です。「Flipdesk」ではサイトを初めて訪れたユーザーへ、ECサイトの人気商品やおすすめ商品を提案します。
初めてサイトを訪れたユーザーの離脱を防止できれば購入意欲が向上する他、リピーターの獲得も期待できるでしょう。
ECサイトにおいては、顧客が商品をカートに入れたまま離脱してしまうケースがあります。「Flipdesk」はカートに入ったまま離脱する顧客に対して、カート内に商品が残っていることをアナウンスし買い忘れを防止します。
キャンペーンや特典などを顧客に訴求すれば、購買意欲を高められます。「Flipdesk」は対象商品を見ている顧客に対して、キャンペーンや特典情報を訴求して販売につなげます。
また「Flipdesk」はカウントダウンバナーの表示でも、顧客の購買意欲を高めることが可能です。キャンペーンの終了時間の表示で、購入に躊躇している顧客の背中を押せます。
資料請求や問い合わせを提案するタイミングは顧客によって異なります。提案タイミングがズレてしまっては、機会損失につながりかねません。「Flipdesk」は顧客の熱量が高いタイミングで提案するため、資料請求や問い合わせにつながる可能性を高められます。
「Flipdesk」はチャットボット「Cross Talk」と連携可能です。「Cross Talk」との連携よって24時間365日、顧客からの問い合わせに対応してケアできます。「Flipdesk」を「Cross Talk」と連携させれば、顧客それぞれに適したコミュニケーションを取れるでしょう。
「Cross Talk」の主な機能として、以下が挙げられます。
「Cross Talk」は次の3つのチャット形式に対応しています。
チャット形式 | 特徴 |
---|---|
シナリオ型 | 事前に設定したシナリオに基づき、顧客の選択によってフローチャートで会話を進める |
QA型 | 顧客が入力したキーワードに対して一問一答形式で回答する |
アンケート型 | 選択肢での回答だけでなく、テキストや日付、金額などの入力に対してフローチャートで回答する |
「Cross Talk」には日本語の解釈に特化した独自のアルゴリズムが搭載されています。独自のアルゴリズムの活用で、日常会話で生まれる言い回しや表記の揺れに対応可能です。そのため、顧客とスムーズなコミュニケーションにつながります。
「Cross Talk」が提供するのは、システムによる自動のチャットだけではありません。有人チャットへの切り替えが可能です。「Cross Talk」は独自のアルゴリズムによってスムーズなコミュニケーションが可能ですが、システムでは対応しきれない問い合わせの発生も考えられます。システムでは対応しきれない問い合わせが発生した際、未回答のままでは顧客満足度が低下しかねません。「Cross Talk」は有人チャットへの切り替えが可能なため、システムでは対応できない複雑な問い合わせにも回答可能です。また、顧客が有人の対応を希望した際も切り替えられます。
「Flipdesk」で取得したデータは「Cross Talk」に活用可能です。同じく「Cross Talk」で取得したデータは「Flipdesk」への活用も可能です。「Flipdesk」のターゲティング条件として活用できれば、属性に特化したオリジナルのターゲティング条件を設定できます。
「Cross Talk」は、チャット画面の色や表示位置を自社でカスタマイズできます。そのため、サイトに合ったチャット画面を設置可能です。チャット画面をカスタマイズできるため、サイトのイメージを損なうことがありません。
「Cross Talk」の管理画面からは、チャット利用についての数値計測結果を確認できます。確認できる主な数値計測結果は次のとおりです。
正答率や答えられなかった質問数など、管理画面から判断できる数値計測結果を分析して対策を講じれば精度の向上につなげられます。
WEB接客とはECサイトで顧客とコミュニケーションを取り、購入や成約につなげる取り組みです。WEB接客に取り組めば、販売機会損失の防止や顧客満足度の向上が期待できます。さらには、商品の購入や資料の請求といったコンバージョン獲得にもつながるでしょう。
販売機会損失の防止、顧客満足度向上といったメリットを実現するためには、WEB接客ツールを導入するのがおすすめです。WEB接客ツールを選ぶ際は導入目的や機能、サポート体制などに着目し、自社に適したものを選ぶとよいです。
WEB接客ツール「Flipdesk」には、キャンペーンやカウントダウンバナーによる購買意欲の促進をはじめ、さまざまな機能が備わっています。「Cross Talk」と連携すればチャット機能もサイトに付与できるため、WEB接客ツール導入を検討している方はぜひご相談ください。