チャットボット
WEBサイトを訪れた顧客に対しては、自社の商品やサービスなどに興味を持ってもらうことが大切です。自社の商品やサービスに興味を持ってもらうためには、実店舗のように接客が求められます。このようなWEBサイトにおける接客がチャット接客です。
本記事では、チャット接客について、メリットやポイントなどを解説します。
チャット接客はWEB接客の一種です。WEB接客とはWEBサイトを訪れた顧客に対して、実店舗のような接客を提供する取り組みです。WEBサイトの顧客に対しての接客は、サイトの離脱率低下などが期待できます。
チャット接客が注目される理由は、ECサイトでの商品やサービス購入が一般的になったためです。実際にECサイトの需要の高まりは、市場規模の推移から判断できます。経済産業省による電子商取引に関する市場調査の結果によれば、2021年から2022年までのBtoCのECサイト市場規模は次のとおりです(※)。
2021年と2022年を比較すると、1年で約2兆円も市場規模が増加しています。市場規模の増加はBtoCのECサイトに限ったわけではありません。BtoBのECサイトであっても市場規模は増加傾向にあります。2022年のBtoBのECサイトの市場規模は420.2兆円でした。前年が372.7兆円、前々年が334.9兆円なので前年からは約50兆円、前々年からは約86兆円もの増加が分かります。
オンラインで商品やサービスを購入するのが一般的になっている状態では、チャット接客によって顧客とのコミュニケーションを取り、しっかりとしたフォロー体制を整えることが大切です。
※参考:経済産業省.「電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました」.
https://www.meti.go.jp/press/2023/08/20230831002/20230831002.html ,(参照2024-05-12).
チャット接客を実現するには専用のツールを活用しましょう。チャット接客ツールは、次の3種類に分けられます。
チャットボットと有人対応はそれぞれにメリット、デメリットがあります。ハイブリッド型であれば両者のメリットを生かして顧客対応が可能です。
チャットボットとは、チャット(会話)とボット(ロボット)を足した造語です。言葉のとおり、チャットボットは顧客から寄せられた質問に対して自動で回答できます。チャットボットは自動で顧客とコミュニケーションが取れるため、24時間365日いつでも対応可能です。
チャットボットは大きく次の2つに分かれます。
シナリオ型は事前に質問と回答を設定しておくチャットボットです。シナリオ型の場合、顧客はチャットボットが提案する項目に沿って質問をします。チャットボットが提案する質問の回答で、顧客は自分の求める答えに辿り着けます。
シナリオ型はFAQ型よりもコストを抑えて導入が可能です。しかし、事前に設定したシナリオ以外には対応できない点がデメリットです。
FAQ型は事前に膨大なデータをチャットボットに学習させ、顧客の質問に回答できるようにする仕組みです。FAQ型は顧客が自由に質問できます。回答もシナリオに縛られることはありません。FAQ型はシナリオ型に比べると、導入コストがかさんでしまう傾向にあります。
有人対応のチャットボットは顧客から寄せられる質問に対して、社内の従業員が対応する仕組みです。有人チャットはチャットボットのように24時間365日、いつでも顧客の問い合わせに対応できるわけではありません。対応時間は制限されますが、人が対応するため、チャットボットよりも柔軟な回答が可能です。
チャットボット、有人対応それぞれの機能が備わっているのがハイブリッド型です。ハイブリッド型はチャットボットのように自動で顧客からの問い合わせに対応できます。さらに、チャットボットでは回答しきれない質問が寄せられた場合、有人対応に切り替えることが可能です。
ハイブリッド型のように、チャットボットと有人対応2つのチャットは切り替えて活用すると、より効果的なチャット接客となります。
チャット接客が活用される場面の主な3つの例を紹介します。
チャット接客が活用される場面として、広く知られているのがECサイトです。例えばアパレル業界のECサイトが挙げられます。アパレル業界のECサイトは、動画を活用する、返品可能なトライアル期間の導入などにより、店舗に足を運ばなくてもファッションを楽しめるようになっています。
しかしアパレルのECサイトには、サイズや送料などさまざまな質問が顧客から寄せられる可能性があるでしょう。チャット接客に取り組めば、顧客の疑問に対して、ECサイト上で回答可能です。
不動産業界でもチャット接客を導入している企業があります。例えばチャット接客により、物件情報の質問やモデルハウスの見学予約などが可能です。さらに賃貸や売買で発生する顧客の質問に対しても、チャット接客によってWEBサイト上で対応可能です。
病院やクリニックでもチャット接客は活用されています。例えばWEBサイト上にチャット機能を設けておけば、患者は自分のタイミングで病院やクリニックを予約可能です。病院やクリニックで発生する質問に対して、有人で対応できる導線を確保しておけば、患者の疑問を解消しやすいでしょう。
チャット接客に取り組めば、次のようなメリットにつながります。
チャット接客は実店舗と変わらないスピードで接客が可能です。その上、チャットボットの機能を活用すれば、顧客に対して深夜などであってもスピーディに返答できます。有人対応をしている時間帯であれば、顧客の複雑な質問にも対応できるでしょう。チャット接客で実店舗と変わらないスピーディな対応ができれば、顧客は自宅にいながらストレスを感じずに買い物ができるため、顧客満足度の向上が期待できます。
チャット接客による顧客満足度向上は、問い合わせ対応でも実現可能です。
顧客を待たせることがないというのもチャット接客のメリットです。従来の問い合わせ対応では、顧客を待たせてしまう可能性があります。顧客の中には待機時間が長いと離脱してしまう人もいます。チャット接客であれば顧客を待たせず返答が可能です。またチャット接客の中でも、チャットボットであれば同時に多くの顧客からの質問に対応可能です。従来のように、電話が話し中でつながらないといったこともありません。
チャット接客は実店舗よりも顧客のデータを収集可能です。例えばチャットに投げかけられた顧客からの質問をもとに、どのようなニーズを顧客が抱えているのかを判断できます。顧客データを活用すれば、自社の商品やサービスの改善、優良顧客の分析などにつなげられます。
顧客データ活用は従業員の接客や提案の質向上にも効果的です。顧客が抱えている悩みを把握した上で、それぞれにパーソナライズされた提案ができるようになるでしょう。その結果、顧客からの信頼が向上し、複数商品の購入やより高価な商品の購入といった顧客単価アップが期待できるでしょう。
チャット接客によって顧客の質問にスピーディに対応できれば、サイト離脱率の減少が期待できるでしょう。ECサイトにおいて、サイト離脱率は売り上げや目標達成に大きく影響を及ぼします。例えばすぐに回答を解消できない場合、顧客は商品やサービスへの関心を失い離脱しかねません。また、顧客から見てサービスや商品が分かりにくいサイトの場合、顧客は詳細を調べずに離脱してしまう可能性があります。このような際にチャット接客で対応すれば、顧客のECサイトに対する興味を高められます。
チャット接客によってサイト離脱率を減らせれば、自社の売り上げ増加にも期待できるでしょう。
チャット接客を始めるにあたり、顧客がどのようなニーズを抱えているかを把握しておきましょう。顧客はWEBサイトなどを利用する上で、次のようなニーズを抱えている傾向にあります。
顧客はWEBサイトなどを利用する上で、気軽に問い合わせをしたいというニーズを抱えています。一方で顧客の中には、問い合わせに対して抵抗感を抱いている人も少なくありません。人によっては、電話をかける行為に抵抗感を覚えるケースがあります。また、メールのやり取りを何度もすることや、余計な提案を受けることに煩わしさを感じるケースもあるでしょう。
このような、顧客が抱える問い合わせの煩わしさを解消できるのがチャット接客です。チャット接客の場合、顧客は自分の好きなタイミングで気軽に聞きたいことだけを問い合わせられます。
顧客は自分が抱えている疑問をスピーディに解決したいというニーズを抱えています。WEBサイトでのチャット接客に取り組めば、顧客の質問にスピーディに回答可能です。
チャット機能を必要としていないというニーズがあることも把握しておきましょう。チャット機能が不要な顧客からすると、煩わしさの原因になりかねません。チャット機能が不要な顧客にチャット欄を何度も提示してしまうと、サイト離脱につながる恐れがあります。どの顧客がチャット機能を欲していないのか判断するためには、分析機能が備わったツールの導入が必要です。
チャット接客に取り組む際は、次のような6つのポイントを意識しましょう。
チャット接客ではツールの導入が必要です。しかし、チャットツールを導入するだけで満足しないように気を付けましょう。チャットツールを導入したとしても、的確に運用できなければ十分な効果は得られません。ツールを導入して満足するのではなく、目標設定や施策、効果検証をしっかりと行う必要があります。
チャット接客に取り組む際は、迅速な回答が求められます。回答までに時間がかかってしまうと、顧客はその商品やサービスの利用を避ける可能性があります。顧客が自社の利用を避けてしまうと、売り上げの低下につながりかねません。そのため、顧客から問い合わせや質問が寄せられたら迅速に回答しましょう。
顧客から寄せられた質問の回答が遅れた場合、SNSなどで自社のネガティブな情報が拡散される可能性が生じます。自社のネガティブな情報が拡散されると、他の顧客の印象が悪くなり、集客に影響が出てしまいかねません。
一方、迅速に回答できればネガティブな情報の拡散防止につながります。
チャット接客で顧客に返答する際は、冒頭に結論を持ってくることが大切です。WEBサイトで質問をする顧客は、自分の質問に対して的確な回答を求めています。このような顧客のニーズをくみ取って、質問の結論は最初に持ってくるようにしましょう。
顧客に返答する情報はプラスアルファを心掛けましょう。顧客が問い合わせた内容だけを返答していては、顧客の満足度向上にはつながらない可能性があります。顧客のニーズや質問の意図をくんだ回答をすれば、満足度の向上につなげられます。
チャット接客の中でも有人対応は顧客からの問い合わせに対して、細やかなケアが可能です。先述したような顧客のニーズをくみ取り、有人対応ならではの魅力を提供しましょう。
なお、チャット接客では可能な限り、具体的な情報の伝達が大切です。ECサイトでは実店舗のように商品を実際に手に取って見られません。そのため有人対応する際もチャットで具体的な情報を伝えるように従業員に共有しましょう。
チャット接客では、WEBサイトを訪れた顧客のアシストも大切です。例えばWEBサイトを訪れた顧客を年齢や性別などによって分けることで、顧客の年齢、性別などに応じた接客が可能です。顧客に応じた提案ができれば、購入率の向上が期待できます。
チャット接客を進める上では専用のツールが欠かせません。ツールの選択には、次のような点を意識しましょう。
チャット接客に取り組む目的は企業によって異なります。そのためチャット接客のためにツールを導入する際は、目的に沿った機能が備わっているかを確認しましょう。例えば顧客データを活用して新たなニーズの発見をしたい場合は、十分な分析機能が備わったツールが必要です。自社の目的に応じた機能が備わっていないと、ツールが定着せず活用されない可能性もあるため注意しましょう。
チャット接客のためのツール導入にはコストがかかります。そのため、導入コストが予算に見合っているかを確認しましょう。ツール導入にかかるコストは、初期費用だけではありません。継続利用で発生するコストも考慮する必要があります。さらに、ツールの運用には従業員のコストも必要です。
チャット接客のツールにはさまざまなものがあり、中には多機能なものも存在しています。しかしどんなにできることの幅が広くても、自社で使用する機能でなければ意味がありません。自社で使用しない機能を多く含む多機能ツールを選ぶと、不要なコストの増加につながりかねないため注意しましょう。
より柔軟性の高いチャット接客を行いたいのであれば、チャットボットと有人対応との切り替えができるハイブリッド型を選びましょう。特に顧客の簡単な質問には自動対応しつつ、難しい質問には有人対応したいというケースでは、ハイブリッド型のツールが活躍します。
チャットボットだけでは回答できる質問に限りがあります。一方、有人対応では顧客が質問できる時間に限りが生まれてしまいます。そのため、チャットボットと有人対応を切り替えて顧客対応ができると便利です。スムーズに切り替わることで、顧客に好印象を与えることにもつながります。
チャット接客のためのツールを選ぶ上では、サポートやセキュリティ体制が整っているかに着目しましょう。サポート体制はツールを提供するベンダーによって異なります。例えば、平日だけでなく土日、祝日であっても対応可能かどうか、チャットツールが定着するまでサポートしてくれるかどうかなど、自社に応じたサポート体制を選びましょう。
ベンダーの体制はサポートだけでなく、セキュリティ体制も確認が必要です。チャット接客に活用するツールには顧客情報など、個人情報が含まれています。セキュリティ体制が整っていないと、個人情報の流出につながりかねません。そのため、ベンダーのセキュリティ体制を確認しましょう。ベンダーのセキュリティ体制を確認する際は、次のような情報セキュリティ認証を取得しているかどうかを参考にするのがおすすめです。
※参考1:一般財団法人日本情報経済社会推進協会 .「プライバシーマーク制度」.https://privacymark.jp/,(参照 2024-05-21)。
※参考2:一般財団法人 日本品質保証機構 .「ISO/IEC 27001(情報セキュリティ)」.https://www.jqa.jp/service_list/management/service/iso27001/ ,(参照 2024-05-21)。
※参考3:一般財団法人 日本品質保証機構 .「JIS Q 15001(個人情報保護)」.https://www.jqa.jp/service_list/management/service/jisq15001/ ,(参照 2024-05-21)。
※参考4:一般財団法人 日本品質保証機構 .「ISO/IEC 27001」.https://www.jqa.jp/service_list/management/service/iso27017/ ,(参照 2024-05-21)。
チャット接客によって顧客の離脱率低下や顧客データ活用につなげるには、「Cross Talk」がおすすめです。チャットツールである「Cross Talk」には、次のような特徴があります。
「Cross Talk」は必要な顧客に対して、チャット機能を提示します。顧客の中にはチャット機能が不要な人もいるでしょう。「Cross Talk」であればターゲティング条件を活用することで、チャット機能が不要な顧客には提示しないように設定できます。
「Cross Talk」に備わっているのは、自動のチャットボットだけではありません。有人チャットへの切り替えも可能です。チャットボットから有人チャットに切り替えられるため、チャットボットだけでは対応しきれないような問い合わせにも応えられます。
「Cross Talk」はWEB接客ツール「Flipdesk」と連携可能です。「Cross Talk」で取得したデータを、「Flipdesk」のターゲティング条件として活用すれば、より細やかな接客を提供できます。
チャット接客はWEB接客の一種で、サイトを訪れた顧客に対して実店舗のような接客を提供する取り組みです。チャット接客に取り組めば実店舗と変わらないスピードで接客ができ、サイト離脱率を減少できるなどのメリットにつながります。
チャット接客に取り組む際は専用のツール導入が必要です。ツールを選ぶ際は導入コストが予算に見合っているか、サポート・セキュリティ体制が整っているかなど、本記事でご紹介した内容についてしっかりと確認しましょう。
チャット接客のためのツールとしておすすめなのが「Cross Talk」です。「Cross Talk」はチャットを必要とする顧客に対して情報を提供でき、有人チャットにもスムーズに切り替え可能です。またWEB接客ツール「Flipdesk」のターゲティングとしても活用できるため、チャット接客を検討している企業のご担当者様はぜひお気軽にご相談ください。